第1話:開園


 雲一つ無い晴天。

 風学から出発した数台のリムジンバスは、目的地であるブリランテ・ワールド(以下「BW」)に近付いている。

 窓から外の景色を見ながら盛り上がっている、一組のカップル。
「行楽日和って今日みたいな事を言うんだね~見て見て彩奈ちゃん、でっかい観覧車!!」
「すっごーい!!楽しみだね、いっぱい遊ぶよっ!!」

 目を輝かせながら仲睦まじさを滲み出している恋人1組。
 彼氏は茶々山緑香(ささやま りょっか)、彼女は桜彩奈(さくら えな)
 
『ほらほら2人共、ちゃんと座っていなさい』
『逸る気持ちは判らないでも無いけどな』
「「はーい!」」

 やんわりと2人を注意したのは、共に2人のアート。
 緑香の人型の女性アート「くの一桜花」、彩奈の人型の男性アート「颯(はやて)」
 まるで保護者の雰囲気を醸し出しており、緑香と彩奈は2人の言う事に素直に応じる。


「ホンマ解せんわ。何でワシらを選ばん?」
「まぁまぁ・・・・・・滞在は今日だけじゃないぜ、それにホテルでは兄弟水入らずの時間だってあるから文句言うなって」
 最後部座席から、緑香と彩奈の後姿に(おそらく彩奈に対してだけ)忌々しい視線を送っているのは透明潤美(とうあ うるみ)。
 その潤美に対して、当たり障りの無いフォローを入れているのは、銀遊子(ぎん ゆうし)。
 潤美・遊子・緑香の3人は、所謂「家庭の事情」で生まれた直後に生き別れていた正真正銘の三つ子の兄弟だったが、風学をキッカケに再会していた。
 3人共に可愛らしい外見と名前を持っているものの、しつこい様だが三つ子の「兄弟」なのである。
 潤美のアート「闇椿油天目(やみつばきゆてんもく)」は獣型と言っても、今は活動しやすい様に人型へと変化しているが、どこをどう見てもメイドと呼ばれる物である。
 一方、遊子のアートは遊子の左手に常時待機している物型でパペットタイプの「ラッキー」
 遊子は生まれ付き運動性失語症を患っており、その遊子の「声」を代弁しているのがラッキーであるがラッキー自身の意思も伝える事が可能である。
「潤兄、そんなにカリカリしてたら楽しむモノも楽しめなくなっちまうぜ?」
「そうだぜ。いつまでもそうしてると・・・・・・緑香に嫌われるかもな」
 遊子のセリフの後に、眼鏡のレンズからピシィッ・・・と云う様な音が聞こえた気がした。
「・・・・・・それはアカン!!」
『潤美様、少しだけの辛抱です・・・・・・』
 闇椿が潤美の固まった瞬間を目撃してしまい、心の中で潤美を甲斐甲斐しく思ったが、それに潤美が気付くワケでは無かった。


 一方、別の男子の様子。

「確かに男の友情も大切や・・・・・・大切やとは思っとるけどなぁ・・・・・・」
「同感。何とか出来ねぇかなー」
「まぁまぁ・・・・・・熱い友情、何者にも変えられないと思いまス」
 
 ガッカリしているのは、自称・未来のお笑い芸人こと江國優作(えくに ゆうさく)、現役高校生プロダンサーの四御神砂(しのごぜ いさご)。
 その2人をフォローしているのは、イギリスからの語学留学生のグリュック・アードリガー。
 3人共に彼女持ちで彼女とのデートを楽しみにしてはいたものの、気の毒な事に(?)男友達に囲まれている。
 独り身の男生徒が結集し「男友達で熱く楽しむ」と云う、恋人持ちには迷惑極まりない計画に巻き込まれてしまった。
 平たく言えば、嫉妬の矛先が向けられただけである。

「そういや、グーは彼女と約束でもしてんのか?」
「大丈夫ですヨ。一緒に周る計画は立ててありまス。皆さんにも、彼女と共に過ごせる時間を大事にしたいと説得したら、判って下さったのですヨ」
 グリュックも「男の友情の会」(仮称)の参加を要請されていたが、グリュックの紳士的な説得により彼女と過ごす時間以外は皆に付き合うと云う条件でデート権を保持する事が出来た。
「自分も彼女も、それぞれの友達とも楽しく過ごしたいですからネ」
『グー・・・さすが』
『優作さま。グリュックさまの様に、もう一度お友達の皆さんに頼んでみてはいかがでしょう?』
『そうだ。いざとなったら、我が奴等を黙らせてやろう!』
 2人の会話に応えるアート。
 グリュックを褒めたのは、天使の様な風貌で、美しく可愛らしい幼女の「アシェ」
 優作に妙案を提示したのは、寡黙そうな雰囲気を纏いつつも、武器である出刃包丁を抱えている喪服の金髪女性の「リィンカネーション」
 砂に物騒な妙案を提示したのは、手の平サイズから砂と同じ位の身長に大きさを変えた、緋色の羽を持つ女性「采(さい)」
 共に人型アートである。
「せやなぁ・・・皆に納得してもらえる言い訳でも考えてみるわ」

 ちなみに、優作の彼女は樹嶋笹女であり、つい最近恋人同士になったばかりの新米カップルなのだが、この件について笹女に身体が折れるんじゃないかと思うほど謝っていた姿を生徒の何人かが目撃していたらしい。
 何とか時間を作ってみると宣言したものの、健気な努力も水泡に帰すかも知れない。

「そう言えば・・・・・・今日は独り身やないか、ええの?」
「一人身?・・・・・・私は3人と違って、デートする相手は居ませんよ」
『クタバリ損イニ、彼女ナンテ、イネーダロ』
「・・・・・・ベッキィーは気にしなくて結構」
 優作の質問に答えたのは、十時・ツェルバ(とどき)と、十時のアートでラクガキの様な顔が描かれているパステルブルー傘のベッキィー。
 車内なので今は細く巻かれている状態ではあるが、会話は可能な様である。
 服の下から飛び出していた幾つもの点滴管を慣れた様子で裾や襟の中に仕舞いつつ、優作が最初に聞いて来たセリフを頭の中で反芻させた。
「ところで・・・・・・独り身、とは一体どういう事ですかね?」
「あぁ、それか。学校だと毎日ブロンド美女と一緒やろ?せやから、こういう機会にデートでもせぇへんのかな~って」
 その質問に対し、十時は元々青白い顔を更に青くさせ、横で聞いていたグリュックと砂は口元を押さえながら笑いを堪えている。
「優作は知らなかったんですネ?確かに、あの女性は毎日いつも十時と行動を共にしていますが、恋人同士では無い・・・・・・ですよネ?」
『オモシレー!!コリャ傑作ナ話ジャン!!』
 十時の頭上で開いているベッキィーがゲラゲラと笑い転げている。
 ベッキィーの笑い声に耐えかねたのか、十時はベッキィーをグルグルと回転させた。
 先程までのベッキィーの笑い声が、悲鳴に変わった。

「まぁ・・・・・・見つめられてる生活とも言いますねぇ~」






「っ・・・・・・はくしょん!!」
 突然のクシャミに驚きつつも、連れが声を掛けた。
「風邪?それとも花粉症?」
 その質問を聞き、鼻を押さえながら首を傾げて考えを巡らすが、思い当たる理由が見当たらない。
「うーん・・・・・・寒気も無いし花粉症って症状でも無いわよ」
 そう言いながら、クシャミをした時に目の位置まで下がったテンガロンハットの鍔を指で押し上げると、ぺリドット色の瞳の中に周囲の様子が入り込んだ。
『噂でもされてんじゃねーか?例えば・・・・・・あの奇人君とか・・・・って、振るな振るな!!縦揺れはヤメロ!!』
「No kidding!滞在中はオフモード、風紀委員も終日休業だから十時が奇行に走ろうとも、今回は関係無いの!」
 物型の鳥篭タイプのアートのジョーカーを鷲掴み、シェイクするかの様に強く揺らして余計な一言に対しての仕返しを執り行った。
 一頻りスッキリしたらしく、ジル・ミスティレッドは一息吐いて少し乱れた髪を掻きあげた。
 鳥篭の中に入っているバイキンの姿をしたモノは何の変哲の無い普通のヌイグルミなのだが、これをアートを思っている生徒も多数居る。
 ちなみに十時との関係は、十時が普段から周囲を脅かすレベルの奇行を繰り返しているが故の「監視役」として毎日共に行動しているだけであり、恋人でも元恋人でも無いとの事。

「ヘル嬢は・・・・・・クシャミは無いんだな」
「・・・・・・あのね。一々そんな事してたら身が持たないわよ」
 ジルとジョーカーの遣り取りを見ながら、こちらも噂とクシャミの関連性について話し出した。
 ヘルと呼ばれたマスターは、ヘルウェンディ・ウィンスレット。絶世の美女と言っても過言ではないので、道行く人が振り返るのは既に日常茶飯事。
 一緒に授業を受けただけでも彼女の話題が上がる事もあるので「誰かと一緒に歩いていた」と云うレベルの話でも「噂」として流れる事も少なくない。
 そのヘルのアートは物型で3枚の刃が備わっている大型の鎌・三刃鎌スネール。





 色々な想いを乗せながら走っていたバスが斡旋された宿泊ホテル「ブリランテ・ガーデン」に到着した。
 一旦チェックインして荷物を預けてから、ホテルの一室で今回のイベントについてのオリエンテーションを行う事になっている。

 ロビーに集合した生徒達だったが、逸る気持ちを抑え切れない有様を見る限り、すぐに落ち着く気配は見られない。
 一人の生徒が拡声器を持って、大きく息を吸う。

「お静かに願いますわ!!部屋が7階の生徒は右側に、8階の生徒は中央に、9階の生徒は左側に。それぞれ部屋番号順に並んで下さーい!!」

 生徒まとめ役として先頭で奮闘しているのは、大学部2年の沖いぶき。
 今回のイベントで参加生徒の中からリーダー役として「監督生」に選ばれており、今この様に先頭に立って指示などを出したり、イベント内容を先行で知る事が出来ていた。


 
 全員が落ち着いて整列するまでに数分を要したが、全員ようやく落ち着いた所でオリエンテーション会場に向かった。

 用意されていた大部屋に通され、それぞれが自由に席に着いたのだが、担当スタッフが来るまで各自それぞれ再びザワ付き始めた。


 
「やっぱり広いよね。回り切れるかな」
「大丈夫。聖ちゃんなら2周ぐらい出来ると思うし、ボクもちゃんと手伝うよ!ねっ、麻姉?」
「2周かどうかは判りませんが、遊び過ぎと疲れ過ぎには気を付けて下さいね?」

 園内マップを見ながら周り所を相談しているのは、冴城聖(さえき ひじり)・藤山遊奈(ふじやま ゆな)・藤山麻菜(ふじやま あさな)の仲良しグループ。
 ちなみに3人のアートは、聖は十字架状の杖の「クルス」、遊菜はヒヨコの「ピヨ助」、麻菜は白猫ヌイグルミの「かるび」。
 誰が呼んだか「魔女っ子仲間」、アートと共にした外観だけでも可愛らしさと共に魔女っ子と呼ぶに相応しすぎるぐらい相応しい。
 ちなみに、遊菜と麻菜は姉妹であり、麻菜が姉で遊菜が妹である。



 そうこうしている内に、担当スタッフが数人会場に入って来た。
 すると、あれほどザワザワしいた生徒達は私語や散開を止め、椅子に座りながら待機している。
 マイクを持ったスタッフが軽くマイクテストをしながら、別のスタッフは参加生徒全員の出席を別の担当者に伝えている。

「えー・・・・・・全員揃った様ですので、これからオリエンテーションを開始します。まずは支配人の紹介から始めさせて頂きます」

 司会者がそう言うと、BWマスコットキャラ達にエスコートされながらBW支配人・坪ノ内硝悟(つのぼうち しょうご)が全員の前に姿を見せた。

「風見ヶ原学園生徒の皆様。ようこそ、ブリランテワールドへ!支配人の坪ノ内硝悟です!!まずは、歓迎セレモニーを御覧下さい!!」

 マスコットキャラ達が音楽に合わせて、着ぐるみなんて何のその。軽快なステップでダンスを始める。
 生徒達はその様子に釘付けになりながら、手拍子をしたり一緒に飛び跳ねたりしながらオープニングセレモニーを楽しんでいる。


「アレがウサギのラビィ君。左に居るのがネコのミーアちゃん。犬はワンダ君とフルちゃん」
『ワンダ君とフルちゃんは恋人なんですよね』
 音楽に合わせて踊っているマスコットキャラクター達を説明しているのは、透波清正(すっぱ きよまさ)、その清正に続いて説明をしているのは、黒髪と着物を纏っている日本人形タイプのアート・赤月(あかつき)。ちなみに女性の姿を成している。
「詳しいですね。パンフレットには写真しか載っていませんから、あの子達の関係までは調べ切れませんでしたよ。私なんて各所の施設をチェックばかりしていました」
 清正の隣で踊っているマスコット達を眺めているのは夢幻香澄(むげん かすみ)
 真紅の軍服に身を包み、腰に携えている日本刀アートの月影が(つきかげ)まるで香澄の身体の一部であるかの様に映えている。
「パンフレットには看板マスコットしか書かれていないからな。ガイドブックも持って来たんだが・・・・・・ドコに仕舞ったかな?」
 ショルダーバッグでは無く、幅の広い袖の中からB6版サイズの【BWを遊べ】と書かれたガイドブックを取り出し、それを香澄に渡した。
「ありがとうございま・・・・・・清正さん、試験管が挟まっていますよ」
「おっと、ありがとう。うん、大した中身じゃないから良かった」
 清正の幅広く丈の長い裾の中には病気治療部らしく(?)、研究中で中身の詰まった試験管や小型メスなどが所狭しと詰め込まれているので、うっかり裾の中から零れ落としてしまう事もよく有る話である。

 


「うーん・・・・・・やっぱ、力の有る人は盛大だね」
 セレモニーを眺めながら呟いたのは芝塚蒔和(しばづか まかず)。生存競争の激しい異世界ブラッドから異世界交流留学生として訪れている。
 感心した様に頷くと、自身のアートで左腕に寄生している食虫植物のイリデッセンスがグルルルルル・・・・・・と、唸り声を上げた。
 蒔和はアトラクションのチェック中、興味があってBWの情報を色々と調べていた。
「坪ノ内硝悟。世界的に有名なアート研究家にして、世界初のアート同伴可能の娯楽施設を創立した男」
 蒔和の呟きに補足するかの様に、支配人についての情報が入り込んで来た。
 その声は横から聞こえて来たので振り向くと、蒔和の視線に気付いたエルザ・フリューリンクがウィンクをして話を続ける。
「坪ノ内と言ったら、父親の坪ノ内外務大臣よね。あと、母親は旧財閥の一人娘。つまり、坪ノ内硝悟って男は生まれながらの超超超!御曹司。大小問わずの民間企業に手を出しながらも、アート研究家として活躍してるのもスゴイわよね」
 政治に詳しい知識人でも、あまり知られていない情報までペラペラと語り尽くした。
 エルザの情報網に、アートである銀狼の特徴を持った少年のシュヴァルツは少々困った表情を見せていたが、エルザに向けたセリフで納得出来た。
「エルザ・・・・・・ハッキングして調べた事をぺラペラと喋っていたら、危ないですよ・・・・・・」
 諜報部ならではのスキルかも知れないが、個人的な目的だけでハッキング可能の世の中かと思うと、発覚した時の事を考えたら気が気で無い。

「うふふ~情報ってのは武器よねぇ~」
 シュヴァルツの心配を跳ね退ける様な第三者の意見が飛び出した。
 2人は声の方向に顔を向けると、妖艶な笑みを浮かべたお姉さま系・石神井漢人(しゃくじい あやんど)がパチパチと拍手をしている。
 そして、漢人の肩にはラクガキで描かれたかの様な釘人間のアート・駒(こま)が漢人の拍手を真似て、自分も手(と思われる部位)を打っていた。
「武器って・・・・・・凶器にも成り得ますよ?」
 シュヴァルツが怪訝そうな表情をしながら漢人に問い掛けるが、漢人は首を傾げながら一呼吸置いてから再び口を開いた。
「少年君、情報がモノを言う時代よ~?」
 いや、そういう事でも無いと思いますが!!・・・・・・と、エルザと蒔和は心の中でツッコミを入れた。

「ま、いずれにしても」

 その声と同時に、3人の頭が丸められたパンフレットでポンポンポンと軽く叩かれた。

 振り返ると、引率教師の沖つぐみ(おき つぐみ)が立っていた。
「エルザさんのアートの言う通り、そういう事は大声で喋っちゃダメよ?」
 咎めるでもなく、苦笑を浮かべながら口元に人差し指を当てると3人にウィンクをして見せた。
「「「はーい、つぐちゃん先生」」」
 声の主がつぐみと分かると、素直に応える。
 つぐみは中等部2年のクラスを受け持っている教師で、明るい性格と生徒と向き合う真摯な姿に好感を持たれており「つぐちゃん先生」の愛称で親しまれている。

「それにしても、諜報部は伊達じゃ無いわね」
 第三者どころか第四者として遣り取りを傍観していたのは四御神礦(しのごぜ こう)
 エルザの情報収集力を素直に褒めている。
 遊園地に白衣姿とは不思議なコーディネートだが、BW側が「普段から学園で過ごしている姿で来場して欲しい」との旨に従っただけに過ぎない。
 胸ポケットからキラリと光の反射を受けたアートのミットシュルディガー、通称ミディーが礦の言葉に続いた。
「外務大臣の息子さんと云う事は知っていましたが、母親も名の有る方だとは知りませんでした、勉強になります」
「・・・・・・そうね」
 ミディーにも知らない事が有るんだなと思い、礦にはそれが可笑しくなって、薄く微笑みながら相槌を打つ。

「もうすぐセレモニーが終わりそうね」

 つぐみがそう言いながら前方と見ると、賑やかな音楽が最高潮に盛り上がり、踊っているキャラクター達のテンションもクライマックスに近付いていた。
「そうそう、エルザさん。厳重注意」
 厳重注意と言いながらも、クスリと可愛らしい微笑みを見せた。

「先生のプライベートデータは覗いちゃダメよ?この歳でアイドルの追っ掛けしてるなんて、大っぴらに言えないもの」
 そう言いながら携帯電話を開いた。
 日本で一番人気の男性アイドルグループ“テンペスト”リーダーの待ち受け画面を見せてくれた。



 オープニングセレモニーが終わるとキャラクター達は壁側に集合し、スタッフ達と待機している。

 
「当テーマパーク、ブリランテ・ワールド。皆さんも御存知の通り、世界初の『アート同伴可能』で御座います。これまでのテーマパークは「アート入場可能」と言われましても、アトラクション同伴不可・休憩エリアのみ同伴可能・・・・・・などなど、数えて行くと限りなく制御されているアート使いの現状。勿論、皆さんも色々な思いをされて来たかと思われますが・・・・・・はい、前列にいらっしゃる青色の髪のお嬢さん!何か思い当たる事は御座いますか?」

 突然指名された本人は自分だと気付かずに周囲をキョロキョロ見回したが、隣に立っていた生徒に小突かれて我に返った。
「私!?え、えーっと・・・私のアートは物型なんだけど、混雑している所とかで「アートが突然周囲のお客様に迷惑を掛ける事も考えられるから、片付けて下さい」って言われた事あるなぁ」
「なるほど・・・・・・彼女が言われた事は、アート使いの皆様にとっては氷山角の一角のに過ぎません。まだまだアートそのものが世間に理解されていないのが現状であります。他にも似た様な事があった方は・・・・・・」

 先程、坪ノ内硝悟に指名されていた女子生徒と、その彼女に指名された事を教えてくれた女子生徒が小声で話し始めた。

「焦った~。私が呼ばれるなんて思っていなかったよ。あ、でもファルが迷惑を掛けるだなんて思っていないから!」
『有難う。勿論、私は涼奈が困る様な行動を起こしはしませんよ』

 先程マイクを向けられていたのは、大学部1年の神門涼奈(かみかど すずな)、アートは物型タイプでガントレットの「ファルニア」、通称「ファル」
 突然絡まれてしまったよ言いながら嘆いている。
 涼奈の隣に居たのは、神門結(かみかど ゆい)。涼奈の実妹で青色のリボンで括られたツインテールが特徴的な、護ってあげたいタイプの少女。
『結ちゃん、わたしも迷惑を掛ける行動は絶対しないからね!』
「判ってますよ、ルナはそういう子じゃないですからね」
 結のアートで金髪天使の少女・自由天使シフォルナ・通称ルナが結の背後から現われ、問題を起こしませんと云うアピールを見せている。
「それはそうと・・・・・・お姉ちゃん、ルナ。ちゃんと支配人さんのお話を聞きましょう?また指されるかも判らないですよ」
「そだね。この話が終わったら遊びに行けるんだもんね!結、姉妹水入らずで遊ぶよ!!」
「お姉ちゃん、静かに話を聞きましょう」
「・・・・・・は~い」
 妹に諭される姉であった。



 オリエンテーション終了後、全員に腕時計型の端末機が配布された。
 これはBW内で歩き回っていながらにして、モニター意見を直接管理室に届ける事が可能と云うシステムになっている。
 また、緊急時の通信手段やインフォメーション照会などにも使えるが、この端末機はBW施設内のみ利用可能の設定がされているので、BW外では利用出来ないとの事らしい。
 既に参加生徒全員のIDが記録されているので、広大な施設で待ち合わせや集合する時にも重宝されそうである。




 BW滞在期間のオリエンテーションを終え、いよいよ「課外活動」と云う名前の「遊び」が始まろうとしている。



「お待たせ致しました。風見ヶ原学園の皆様の【ブリランテ・ワールド≪鮮やかな世界≫】これより開園です!!」




to be Continued...




■登場人物紹介■
坪ノ内硝悟(男性/35歳/BW支配人/白瞬猩/アート:ミスティ/人型)
沖つぐみ(女性/29歳/風学教師・引率/紅艶桜/アート:クローバー/物型)
沖いぶき(女性/20歳/風学生徒・監督生/黄彩蘭/アート:リリア/獣型)

江國優作(男性/17歳/高等部2年/青朗狗/アート:リィンカネーション/人型)
茶々山緑香(男性/13歳/中等部2年/青鋭燕/アート:くの一桜香/人型)
桜彩奈(女性/12歳/中等部2年/青明鳳/アート:颯/人型)
グリュッグ・アードリガー(男性/21歳/大学部4年/青麗蜃/アート:アシェ)

四御神砂(男性/15歳/高等部2年/黒砕竜/アート:采/人型)
石神井漢人(女性/18歳/高等部3年/黒烈隼/アート:駒/人型)
冴城聖(女性/15歳/高等部2年/黒明桜/アート:クルス/物型)
藤山遊菜(女性/11歳/大学院修士課程/黒麗桜/アート:ピヨ助/獣型)
透明潤美(男性/13歳/中等部2年/黒狂蟲/アート:闇椿油天目/獣型)
十時・ツェルバ(男性/20歳/大学部2年/黒礼蛇/アート:ベッキィー)

エルザ・フリューリンク(女性/17歳/高等部2年/白流鳳/アート:シュヴァルツ/人型)
藤山麻菜(女性/15歳/高等部1年/白彩蛍/アート:かるび/物型)
ジル・ミスティレッド(女性/20歳/大学部2年/白艶蝶/アート:ジョーカー)
神門結(女性/17歳/高等部2年/白麗蛍/アート:自由天使シフォルナ/人型)

ヘルウェンディ・ウィンスレット(女性/17歳/高等部2年/紅麗蛇/アート:三刃鎌スネール/物型)
夢幻香澄(女性/19歳/大学部1年/紅烈桜/アート:月影)

四御神礦(女性/20歳/大学院修士課程/黄艶鳳/アート:ミットシュルディガー/物型)
透波清正(女性/13歳/高等部3年/黄仁蜃/アート:赤月/物型)
神門涼奈(女性/20歳/大学部2年/黄清隼/アート:ファルニア/物型)
銀遊子(男性/13歳/中等部2年/黄快狗/アート:ラッキー/物型)
柴塚蒔和(男性/17歳/大学院修士課程/黄狂蛇/アート:イリデッセンス)

  • 最終更新:2011-07-06 23:56:32

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